教員を辞めたからこそ、書けることがある
教員として働いているときには、なかなか自分の仕事について客観的に考える余裕がありませんでした。
朝早く学校へ行き、授業をして、生徒対応をして、会議をして、書類を作って、保護者に連絡をして、部活動をして……。
気がつけば夕方になり、そこから残った仕事を片付ける。
そして夜になって、ようやく学校を出る。
そんな毎日を何年も、何十年も繰り返していると、
「これが教員という仕事なのだから仕方がない」
と思うようになってしまいます。
しかし、学校を離れて少し時間がたつと、違った景色が見えてくることがあります。
「あのとき、なぜあんなに無理をしていたのだろう」
「もっと早く、自分の人生について考えてもよかったのではないか」
「教員を続ける以外にも、人生にはいろいろな選択肢があったのではないか」
そんなことを考えるようになりました。
だから私は、元教員として、自分が経験したことや、そのとき考えていたことをブログに書いてみようと思いました。
これは、現役の先生に「辞めたほうがいい」と言うためのブログではありません。
逆に、「絶対に教員を続けるべきだ」と言うためのブログでもありません。
ただ、
「こんなことを考えながら教員を続けていた人もいる」
という一つの例を残しておきたいのです。
教員だからこそ分かることを発信したい
教員という仕事は、実際に学校で働いてみなければ分からないことがたくさんあります。
授業だけをしていればいい仕事ではありません。
生徒との関係、保護者対応、学年の仕事、校務分掌、会議、書類、行事、部活動、同僚との人間関係……。
一つ一つを見ると、それほど大きな仕事には見えないかもしれません。
ところが、それらが毎日のように積み重なっていきます。
しかも、「これくらいならできるでしょう」という仕事が少しずつ追加されていく。
気がつけば、本来何をするために教師になったのか分からなくなってしまう。
そんな経験をした先生もいるのではないでしょうか。
私は、こうした「教員として働いている人にしか分からない感覚」を、自分の言葉で発信していきたいと思っています。
例えば、
・教員を続けることに疑問を感じたとき
・仕事を断れない先生
・職員室の人間関係に疲れたとき
・管理職との関係に悩んだとき
・仕事が増え続けることに疑問を感じたとき
・定年まで教員を続けるかを考えたとき
・教員を辞めた後の生活を考えたとき
・転職という選択肢を考えたとき
・お金や老後について考え始めたとき
こうしたテーマについて、自分自身の経験をもとに書いていく。
それだけでも、誰かの参考になるかもしれません。
「自分の考え」を発信する場所を持ってみる
ブログの面白いところは、自分で発信する場所を持てることです。
SNSのように、その日の出来事を短く投稿するだけではありません。
自分の経験を整理して、文章にして、後から読める形で残していくことができます。
例えば、
「教員を辞めようと思った理由」
というテーマについて書くとします。
そのとき、単に「仕事が大変だったから辞めました」で終わらせるのではなく、
なぜ大変だったのか。
何に疑問を感じたのか。
それでもなぜ続けていたのか。
辞めることを考えたとき、何が不安だったのか。
実際に辞めてみてどうだったのか。
こうしたことを一つ一つ書いていけば、一つの記事になります。
さらに、その記事を読んだ人が、
「自分も今の仕事について考えてみよう」
と思ってくれたら、それだけでもブログを書く意味があると思います。
ただし、現役教員には大きな注意点がある
ここは非常に重要です。
教員がブログを始める場合、「何でも自由に書いていい」というわけではありません。
学校で知った情報には、当然ながら慎重な取り扱いが必要です。
生徒や保護者、同僚、学校などを特定できるような情報を書かない。
個人情報を書かない。
学校内部の非公開情報を書かない。
具体的な出来事を書く場合にも、誰のことなのか分かってしまうような情報を組み合わせない。
特に「実話だから面白い」と考えて、具体的な学校名、地域、学年、時期、人物関係などを詳しく書いてしまうのは危険です。
守秘義務など、職員として負っている義務にも注意しなければなりません。
また、ブログで収益を得ようとする場合には、さらに注意が必要です。
公立学校の教員など地方公務員については、営利企業への従事等に関する制限があり、原則として任命権者の許可が必要となる制度になっています。教育公務員には教育公務員特例法による特例もありますが、具体的な扱いは業務内容や任命権者、教育委員会の規定などによって確認する必要があります。
つまり、
「ブログを書けば広告収入が入るから、とりあえず始めよう」
という考え方は、現役教員の場合にはおすすめできません。
まず勤務先の服務規程や教育委員会の規定などを確認する。
必要であれば担当部署に確認する。
許可が必要なら、必要な手続きを行う。
守秘義務と「個人の感想」は別に考える
では、現役教員は何も発信できないのでしょうか。
私は、そうではないと思っています。
例えば、
「教員の仕事はなぜ増え続けるのか」
「なぜ定時になっても職員室に残ってしまうのか」
「教員は仕事を断ることが苦手なのではないか」
「定年後の生活を考えるようになった」
といったテーマについて、自分の考えを一般論として書くことはできます。
重要なのは、特定の個人や学校を攻撃することではありません。
自分自身の経験を振り返りながら、
「私はこう感じた」
「私はこう考えるようになった」
という形で発信することです。
もちろん、それでも具体的な内容によっては問題になる可能性があります。
だからこそ、公開する前に、
「この文章から、誰か個人や学校を特定できないか」
と一度立ち止まって考えることが大切です。
元教員になった今だから、もっと自由に書ける
私の場合、教員を離れたからこそ、過去の経験を少し距離を置いて振り返ることができるようになりました。
現役時代には、
「そんなことを言っても仕方がない」
「学校とはそういうものだ」
「みんな我慢している」
と思っていたこともあります。
しかし、仕事を離れてみると、
「本当にそうだったのだろうか」
と考えることがあります。
もちろん、今でも教員という仕事そのものを否定するつもりはありません。
多くの先生が、生徒のために一生懸命働いています。
素晴らしい仕事だと思う場面もたくさんあります。
だからこそ、
「素晴らしい仕事だから、どこまでも我慢しなければならない」
という考え方には、少し疑問があります。
仕事が人生のすべてではありません。
教員を続ける人生もある。
別の仕事に転職する人生もある。
少し休むという選択もある。
定年まで働きながら、休日の時間を大切にする方法もある。
いろいろな生き方があっていい。
そんなことを、元教員として発信していきたいと思っています。
ブログを始めるなら、無料サービスだけにこだわらない
そして、こうした発信を長く続けようと思ったとき、私は「自分の場所を持つ」ということも大切だと思っています。
無料ブログやSNSには手軽さがあります。
一方で、自分でサーバーを借り、独自ドメインを取得してブログを運営する方法もあります。
独自ドメインを持てば、自分だけのブログの住所を持つことになります。
例えば、
「元教員の経験を発信するブログ」
というテーマを決めて、
記事を書いていく。
最初はアクセスがほとんどなくても、少しずつ記事を増やしていく。
半年後、1年後に過去の記事が検索から読まれるようになるかもしれません。
もちろん、必ずアクセスが増えるわけではありません。
ブログはすぐに収益化できるものでもありません。
それでも、
「自分の経験を、自分の場所に蓄積していく」
という意味では面白い取り組みだと思います。
ドメインとサーバーを用意して、自分のブログを始める
もし、
「自分も経験したことを文章にして発信してみたい」
と思ったのであれば、ブログを始めるための環境を整えるところから始めてみてもいいでしょう。
一般的には、
ドメイン+レンタルサーバー+ブログシステム
という形でブログを作ることができます。
ドメインはインターネット上の住所。
サーバーはブログの記事や画像を置いておく場所。
そして、その上にブログを作っていくというイメージです。
レンタルサーバーには初心者向けのサービスもありますので、料金や性能、WordPressの導入しやすさ、サポートなどを比較して、自分に合ったものを選ぶといいでしょう。
ここで大切なのは、
「ブログを作ったらすぐに稼げる」
とは考えないことです。
むしろ最初は、
「自分は何を発信したいのか」
を考えることから始めたほうがいいと思います。
元教員という経験は、誰かにとって価値がある
教員として何年も働いてきた。
それだけで、一般の人には経験できないことをたくさん経験しています。
もちろん、学校の内部情報を公開するという意味ではありません。
そうではなく、
「その経験を通して自分が何を考えたのか」
を書くのです。
教員になった理由。
初任者だった頃のこと。
仕事が増えていった経験。
職員室の人間関係。
保護者との関係。
管理職との関係。
働き方について感じたこと。
退職を考えた時期。
退職後に考えたこと。
お金のこと。
これからの人生のこと。
こうしたテーマには、同じように悩んでいる人がいるかもしれません。
自分にとっては「昔の話」でも、今まさに同じことで悩んでいる人にとっては、参考になるかもしれません。
最後に|書くことから始めてみる
私は、ブログというものを単なる「お金を稼ぐ道具」だけにはしたくありません。
もちろん、アフィリエイトによってブログの運営費をまかなったり、収益につながったりすれば、それはうれしいことです。
しかし、それ以上に、
「自分がこれまで経験してきたことを、自分の言葉で残しておく」
ことに意味があると思っています。
教員を続けている人にも、辞めた人にも、辞めようか迷っている人にも、それぞれの人生があります。
だから私は、自分の経験を一つの材料として発信していきたい。
「こんな考え方もあるんだ」
「こういう人生を歩んだ人もいるんだ」
そんなふうに感じてもらえれば、それで十分なのかもしれません。
そして、もしあなた自身にも、
「今まで経験してきたことを誰かに伝えてみたい」
という気持ちがあるのなら、ブログという方法を考えてみてもいいと思います。
ただし、現役の公立学校教員の場合は、守秘義務や個人情報の取り扱いだけでなく、兼業・副業に関する規定にも十分注意してください。
現在の制度でも、公立学校の常勤教員の兼職・兼業については原則として許可が必要とされる仕組みがあり、教育に関する事業などについて一定の特例があります。
「書きたい」という気持ちだけで先に走らず、勤務先の規定を確認する。
そして、問題のない範囲で、自分の経験や考えを発信する。
それが、長くブログを続けるためにも大切なことだと思います。
あなたがこれまで歩いてきた道は、あなたにしか書けません。
教員として過ごした年月も、そこで感じた疑問も、退職してから考えたことも。
それらを自分の言葉で少しずつ文章にしてみる。
その最初の一歩として、自分だけのドメインを取得し、レンタルサーバーを借りてブログを始めてみるのも一つの方法です。
ブログは、単なる副業のための場所ではありません。
自分の経験を、自分の言葉で残していく場所。
そんなブログを作ってみてはいかがでしょうか。

