「教員はブラックだ」
そんな言葉を、以前よりもよく聞くようになりました。
長時間労働、休日出勤、持ち帰り仕事、部活動、保護者対応、授業準備……。
教員という仕事には、やりがいがある一方で、「これを何年続けるのだろう」と不安になるほどの負担が存在します。
私自身、教員として働いていた経験があります。
当時は「大変なのは教員なら当たり前」「子どもたちのためだから仕方ない」と自分に言い聞かせていました。
しかし、今振り返ると、明らかに働きすぎていたと思います。
この記事では、元教員の立場から、なぜ教員の仕事がブラック化しやすいのか、そして「もう辞めたい」と思ったときにどのような選択肢があるのかについてお話しします。
教員は本当にブラックなのか?
まず、すべての学校や教員がブラックな環境だとは言えません。
学校によって勤務状況は大きく異なりますし、管理職や同僚、地域によっても職場環境は変わります。
それでも、多くの教員が「仕事が多すぎる」と感じていることは間違いありません。
教員の仕事が大変なのは、単純に授業だけをしていればいい仕事ではないからです。
授業をするためには教材研究が必要です。
テストを作れば採点があります。
通知表や所見を書き、保護者への連絡を行い、会議にも参加します。
さらに、学校によっては部活動の指導、生徒指導、行事の準備、校務分掌などもあります。
問題が起きれば、その対応もしなければなりません。
つまり、「授業が終わったら仕事も終わり」というわけではありません。
むしろ、子どもたちが帰った後から始まる仕事も大量にあります。
「定時で帰れない」のが当たり前になっている
教員のブラック労働を語るうえで、特に問題なのが長時間労働です。
定時が過ぎても、多くの仕事が残っています。
「今日は早く帰ろう」
そう思っていても、放課後に生徒から相談を受けたり、保護者から電話があったり、急な仕事が入ったりすることがあります。
そして気がつけば、定時から何時間も経っている。
そんな働き方が珍しくありません。
さらに厄介なのが、「周りも残っているから帰りづらい」という空気です。
自分の仕事が終わっていても、職員室に人が残っていると「先に帰っていいのかな」と感じてしまう。
結果として、長時間労働が常態化します。
持ち帰り仕事も少なくない
学校で仕事が終わらなければ、自宅に持ち帰ることになります。
授業準備、採点、資料作成など、「明日までにやらなければならない仕事」は待ってくれません。
家に帰ってから仕事をする。
休日にも仕事をする。
それでも給料が大きく増えるわけではない。
この状態が続けば、当然ながら心も体も休まりません。
特に怖いのは、「忙しい状態に慣れてしまう」ことです。
最初は「こんなに働くのはおかしい」と思っていたのに、数年経つと、それが当たり前になってしまう。
そして、「教員ならこれくらい普通」と考えてしまいます。
部活動が負担になっているケースも
特に中学校や高校では、部活動が教員の負担になるケースがあります。
平日の勤務時間が終わった後も部活動の指導。
さらに土日に大会や練習が入る。
自分が希望して担当している部活動ならまだしも、必ずしも自分の専門分野とは限りません。
「教師になったのだから仕方がない」と言われれば、それまでかもしれません。
しかし、休日まで仕事が続く状態では、家族との時間や自分自身の休息時間を確保することが難しくなります。
「子どものため」が長時間労働を正当化してしまう
教員の仕事が難しいのは、単純に「仕事を減らせばいい」と言えないところです。
教員の多くは、子どもたちにきちんと向き合いたいと思っています。
だからこそ、
「もう少し授業を工夫しよう」
「この子のために時間をかけよう」
「保護者にも丁寧に説明しよう」
と頑張ってしまいます。
これは教員の素晴らしいところでもあります。
しかし、その善意に仕事が積み重なっていくと、際限がなくなります。
「子どものため」という言葉が、教員自身の限界を無視する理由になってはいけません。
「辞めたい」と思うのは甘えではない
もし今、あなたが「教員を辞めたい」と思っているなら、まず知っておいてほしいことがあります。
それは、辞めたいと思うこと自体は決して甘えではないということです。
仕事によって心身をすり減らし続ける必要はありません。
教員という仕事が合わなかったとしても、それは「社会人として失敗した」ということではありません。
単純に、自分に合う働き方が別にあるだけかもしれません。
私自身も教員を辞めるときには、かなり悩みました。
「せっかく教員免許を取ったのに」
「ここまで続けたのだから、もう少し頑張ったほうがいいのではないか」
「辞めたら次の仕事が見つかるのだろうか」
そんな不安がありました。
しかし、転職について調べていくうちに、「教員以外にも働き方はたくさんある」と気づきました。
教員の経験は、転職でも活かせる
「教員を辞めたら、何の仕事ができるの?」
これは、転職を考える教員が非常によく抱く不安だと思います。
しかし、教員として身につけた能力は、決して学校の中だけでしか使えません。
例えば、
- 人前で話すプレゼンテーション能力
- 相手に合わせて説明するコミュニケーション能力
- スケジュールを管理する能力
- 複数の仕事を同時に進めるマルチタスク能力
- 保護者や同僚などとの調整能力
- 文書や資料を作成する能力
- 相手の課題を見つけ、解決策を考える能力
などです。
これらは、一般企業でも十分に評価されるスキルです。
「自分には教員しかできない」と思っている人ほど、一度自分の経験を整理してみてください。
実際には、たくさんの仕事に応用できる能力を身につけています。
いきなり辞める必要はない
もちろん、転職を考えたからといって、明日退職届を出す必要はありません。
むしろ、今の仕事を続けながら情報収集を始めることをおすすめします。
ハローワークに行ったり、転職サイトに登録したり、どんな求人があるのかを眺めてみるだけでも構いません。
「世の中には学校以外に、こんな職業があるのか」
「教員経験を活かせる仕事はあるのか」
「自分の年収は転職するとどうなるのか」
「どんな企業が教員経験者を採用しているのか」
こうした情報を知るだけでも、今後の選択肢が見えてきます。
大切なのは、「教員を辞めるか、続けるか」の二択で考えないことです。
「いつでも辞められる」という選択肢を持ったうえで、今の仕事を続ける。
それだけでも、精神的な余裕が生まれることがあります。
転職サイトは「辞めるため」ではなく「選択肢を増やすため」に使う
転職サイトというと、「退職する人が使うもの」というイメージがあるかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
今の職場に残るとしても、他の会社の求人を知っておくことには意味があります。
例えば、
「教員を辞めても、これくらいの年収を目指せるんだ」
「土日休みの仕事もあるんだ」
「こんな働き方をしている人もいるんだ」
と分かれば、視野が広がります。
逆に、求人を見てみた結果、「やっぱり今は教員を続けよう」と思うかもしれません。
それでもいいのです。
転職活動は、必ず転職しなければならないものではありません。
教員を続けることも、辞めることも正解
教員という仕事には、他の仕事にはない魅力があります。
子どもの成長を間近で見られる。
卒業後に教え子から感謝される。
自分の授業によって、生徒が何かに興味を持つ。
こうした経験は、教員だからこそ得られるものです。
だから、教員を続けたい人は続ければいい。
一方で、「もう限界だ」と感じているなら、別の道を探してもいい。
大切なのは、周囲の「せっかく教員になったんだから」という言葉ではなく、自分自身がどう生きたいのかを考えることです。
まとめ|「辞めたい」と思ったら、まず求人を見てみよう
教員の仕事は、やりがいがある一方で、長時間労働や休日勤務、持ち帰り仕事などによって負担が大きくなりやすい仕事です。
そして真面目な人ほど、「子どものために」と頑張りすぎてしまいます。
もし今、
「毎日仕事が終わらない」
「休日も仕事をしている」
「この働き方を何十年も続けるのは無理かもしれない」
と思っているなら、一度立ち止まってみてください。
あなたが悪いわけではありません。
そして、教員を辞めることは、これまでの経験を捨てることでもありません。
教員として身につけたスキルを活かして、別の仕事へ転職するという選択肢もあります。
まずはハローワークや転職サイトで求人を見てみるだけでもいいでしょう。
登録したからといって、必ず転職する必要はありません。
「教員以外にも自分が働ける場所がある」
そう知るだけで、少し気持ちが楽になることがあります。
今の職場しか知らない状態で、「ここで働き続けるしかない」と思い込まないでください。
あなたには、別の働き方を選ぶ自由もあります。
まずは、自分がどんな仕事なら無理なく働けるのか、どんな企業から必要とされるのかを調べるところから始めてみてはいかがでしょうか。

